この建物の建築的意義は、設計の指針となった日本独自の価値観と美学に深く根ざしています。
- 渋さ: 簡素、謙虚、自然であることを重んじ、自然からインスピレーションを得た有機的な形態に反映されています。
- 侘び寂び: 不完全さを受け入れ、素朴な経年変化の中に美を見出し、時代を超越した本質を追求しています。
- 和: 「調和」を象徴し、建物全体のコンセプトにおいて表現されています。
- 絆: 異なる世代が集う拠点(ハブ)として、緊密なコミュニティを育むデザインとなっています。
- 懸け橋: 日系カナダ人、日本人、そしてカナダ文化を繋ぐとともに、異なる年齢層や世代を繋ぐ架け橋となることを目指しています。
- 間: 質量と余白の調和、重なり(レイヤリング)、そして枠取り(フレーミング)に関わる原則です。日本の空間づくり特有の、自然に対する視界を「隠し、そして見せる」手法が建物の構成に取り入れられています。
形態、素材、およびレイアウト
建物の物理的な特徴には、文化的背景と環境性能の両方が反映されています。
- 形態とボリューム: 「円相(描きかけの円)」に着想を得た曲線的な構造で、中央の日本庭園(中庭)を囲むように施設が配置されています。これにより、館内のどこからでも庭園の景色を望むことができます。
- 屋根のライン: 変化に富む屋根の形状は、建築的な特徴であると同時に、機能性も重視されています。カルガリーの日照経路に合わせて設計されており、自然光を最大限に取り入れ、パッシブな太陽熱利用による暖冷房を促進します。また、尖った屋根の形状は、日本の白川郷に見られる**「合掌造り」**を彷彿とさせます。
- 素材: 落ち着いた最小限の素材(マテリアル・パレット)を採用しています。構造面では、木の温もりを活かしつつ炭素排出量を抑えるため、**マス・ティンバー(Mass Timber)**や重木構造のフレームを導入。内装にはコンクリート、ホワイトギプボード、樺(バーチ)の合板、直交集成板(CLT)、そして畳が使用されます。
- 焼杉: 外装には、日本の伝統技法である「焼杉」を施したタイルを提案しています。これは、天然素材に耐候性、耐腐朽性、防虫性、そして半防火性を持たせる合理的かつ伝統的な手法です
機能性と現代基準
新施設は、現代に求められる機能的要件を高い水準で満たしています。
- アクセシビリティ: リック・ハンセン財団(RHF)のアクセシビリティ認証ガイドラインに従い、ユニバーサルでバリアフリーな環境を保証します。旧建物の課題を解決し、中庭や主要な公共スペースに段差やスロープなしでアクセスできるよう設計されています。
- 持続可能性: 環境負荷を最小限に抑える「ネットゼロ・カーボン対応」を目指しています。パッシブソーラーデザイン、自然換気、節水型造園(ゼリスケーピング)、雨水利用(中水道)などを導入し、LEEDゴールド認証の取得を目標としています。
- コミュニティとの統合: 旧施設のレイアウトを反転させ、メインホールを通り(29th Street)に面して配置しました。中の活動が外からも見える「金魚鉢(フィッシュボウル)」のようなデザインにすることで、地域社会との繋がりを強化しています。焼杉: 外装には、日本の伝統技法である「焼杉」を施したタイルを提案しています。これは、天然素材に耐候性、耐腐朽性、防虫性、そして半防火性を持たせる合理的かつ伝統的な手法です
評価と表彰
この建築デザインは、着工前から専門家による高い評価を受けており、2020年の「カナディアン・アーキテクト優秀賞(Award of Excellence)」や「カルガリー市長アーバンデザイン賞」を受賞しました。本プロジェクトは、多様性と包摂性を推進するエスニック・コミュニティセンターの未来像を示す先駆的な事例として注目されています。
Built Alternative: An Alternative Guide to Japanはこちら
お問い合わせ
メール:
電話:
(403) 242-4143
寄付しましょう!
Thank you for supporting the CJCA Legacy Project. The Legacy project is to provide a space where the Japanese community in Calgary can thrive and grow for generations to come.
登録済みの方はこちら ログインはこちらから
